流量計の不具合対策~Measures for flowmeter malfunction~

配管工のももが流量計の不具合対策について説明します♪

流量計の選定方法

<工場配管用の流量計はアナログ式が良い?>

さて、この記事では、「不具合時の対応のしやすさ」に焦点を当て、流量計の選定方法について、紹介したいと思います。

結論から言いますと、私の経験上一般の工場配管用の流量計はアナログ式が良いです。(食品用・医療用等は別ですが…)

不具合発生時の原因と対策が明確だからです。

流量計に限らずですが、機器の不具合は配管工としてはつきものです。

そんな中、配管部に可動部が存在するアナログ式の流量計は、動きが止まれば「ゴミ詰まり」等、原因がはっきりしている場合が多いです。

「ゴミ詰まり」が原因であれば、「流量計を分解洗浄」すれば、大抵の場合、流量計は正常に動き出します。

分解洗浄は多少手間ですが、原因と対策が明確なので、不具合発生時にそれ以上頭を抱える必要はありません。
ところが、電磁流量計等のデジタル式の流量計の場合、「電気信号がおかしい」等、原因が特定しにくい不具合が多いです。「配管系統に何らかの電気的ノイズが発生している」等の原因をこれまで経験してきましたが、「電気的ノイズ」は目に見えるものではないので、適切な対策を見つけるのは容易なことではありません。(電気分野に詳しい専門家の方は別かもしれませんが・・・)
よって、配管の計装関係の業務に携わっている方々は、是非一度ご自身の業務経験を振り返って頂き、アナログ式の流量計の選定をご検討されることをオススメします。

 

<オススメの流量計メーカー3選>
私のオススメするアナログ式の流量計のメーカーは以下の3社です。
1.瞬時流量計なら「カワキ計測工業㈱」

http://www.kawaki.com/
2.積算流量計なら「日東精工㈱」
3.空気用なら「流体工業㈱」
詳細は以下の通りです。

 

<瞬時流量計なら「カワキ計測工業㈱」>
カワキ計測工業㈱の瞬時流量計は「フラッパー」と呼ばれる受圧板が流体の力を受けて配管内を前後に動くことで流量を検知するアナログ式のものです。流体が板を押した分だけ、指針が動くようになっています。カワキ計測の流量計の特徴はとにかく「頑丈で壊れにくい」ことです。主力の製品は、動力がマグネットを介して伝わる(マグネットカップリング方式)ので、多少のウォーターハンマーでも基本的に壊れたりはしません(メーカーはOKしないでしょうが・・・)。
オススメの型式はSF型(FY型)と呼ばれる流量計で、カワキ計測の主流となっているようです。

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(SF型流量計の写真)

また、微小流量用でINF型と呼ばれるものもオススメです。

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 (INF型流量計の写真)

SF型流量計には、接点付きのもの(「フロースイッチ」と呼ばれるもの)もあり、電気容量の高いマイクロスイッチを使っているのが特徴です。
この手のフロースイッチには、通常「リードスイッチ」と呼ばれる電気容量が低いスイッチが用いられています。電気容量が低いリードスイッチは溶着しやすく、接点の動作不良の原因の一つとなっています。
一方、カワキ計測のSF-MA型フロースイッチにはマイクロスイッチが使われているため、溶着のような不具合が起こりにくいです。
これはユーザーとしてすごく助かります。
なんせ私自身リードスイッチの溶着で何度も苦しめられてきましたから。
(不具合対応で夜中まで残業したこともあります。肌荒れヤバい…(ノД`)シクシク)
さらに、微小流量用のINF-MA型フロースイッチも同様に、マイクロスイッチが使われています。接点容量が高い上に0.4L/minくらいの微小流量でも設定可能なため、私は重宝しています。
欠点を言うとすれば、受注生産なので、納期がかかることですかね。一品一品調整して出荷しているようなので、量産品を手配する時に比べると、計画的に前々から予定を立てる必要があります。
見た目がダサいのも欠点かな($・・)/~~~笑
まあ、背に腹は変えられませんので、見た目は目をつむりましょう。。。

 

<積算流量計なら「日東精工㈱」>
日東精工㈱の積算流量計は「ロータリ式」と呼ばれる容積式の流量計で、これもまた非常に頑丈です。
昔は家庭用の水道メーターの大部分が日東精工㈱のものだったとか。聞くところによると過去に談合をしていたことがバレて、日東精工㈱のシェアは減ってしまったそうです。ただこの会社、技術力は確かです。なんせ、一度取り付けたら約20~30年持ちますから(^^)/
主力の製品はRS型ロータリ流量計とよばれるものです。

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(RS型流量計の写真)

ローターと呼ばれる升が回転することにより、流量を検知します。精度が非常に高いのも特徴です。ただ、構造上ゴミ詰まりはしやすいので、定期的に分解洗浄する必要はあります。しかしこれは、裏を返すと、ゴミ詰まりという形で、明確に配管内の不具合を教えてくれるため、便利です。詰まっていたゴミが他の装置に入り込んでしまうことを考えるとぞっとします(配管内のゴミで他の装置が故障した事例が何度かありました)
これはカワキ計測の流量計にも言えることですが、上述の通り、アナログ式の流量計は、不具合の原因と対策がはっきりとしているため、後々の苦労を軽減させてくれます。

 

<空気用なら「流体工業㈱」>
流体工業㈱の流量計は「フロート」を用いた一般的な面積式流量計です。面積式流量計のメーカーは他にもありますが、他の同等の製品と比べ、壊れにくい(私の経験則ですが・・・)のが特徴です。面積式流量計なので、基本的に流れ方向は「下→上」です。
製品の話からは脱線しますが、流体工業㈱のホームページの「技術資料」は見ていて勉強になります♪(^^)/これだけ詳細なページを作っているくらいだから、製品もきっとしっかりしているのでしょう。

いかがでしたか?
このページでは、不具合対策の容易性からあえてアナログ式の流量計をオススメしてきました。これには賛否両論あるかとは思いますが、全て私の実際の経験則に基づくものです。
これらの情報が少しでも皆さんの実務に役立てば幸いです☆