流量計のゴミ詰まりにはメリットも?
前回の記事で、流量計のゴミ詰まりにより、指示値が下がったり、止まってしまったりするため、定期的に分解洗浄をする必要があることをお伝えしました。
ここでよく話題になるのは「そんな面倒くさいことするんだったら、そもそもゴミ詰まりのないデジタル流量計(接液可動部無)に変えたらいいのでは?」という話です。
確かに、クランプオン型の超音波流量計等、接液部に可動部のない流量計であれば、ゴミ詰まりがないため、分解洗浄する手間は省けます。
しかし、その手間を省くことは必ずしも良い結果を生み出すわけではありません。
この記事では、あえてゴミ詰まりが発生するアナログ流量計を用いるメリットをご紹介します。
<①アナログ流量計(接液可動部有)を用いた場合>
まず、下記の配管の場合、配管内のスケールやスラッジが溜ると流量計の指示値が低下する等の不具合が発生します。
こうなった場合、ゴミを除去するため、流量計を分解洗浄する必要があります。
<②デジタル流量計(接液可動部無)を用いた場合>
一方で、以下の配管のように先ほどのアナログ流量計をデジタル流量計へ変更するとどうでしょう?
接液可動部がないことで、流量計内のゴミ詰まりを防ぐことができるため、確かに分解洗浄の手間は省けます。
しかし、この場合、ゴミが下流側に流れ、他の装置の不具合の原因となりかねません。
「ストレーナをつければいいのでは?」と言う人もいますが、ストレーナはスペースの制約上十分な数量つけることができないことが多いです。また、メッシュ数を増やすと圧力損失が増えるため、好ましくありません。
経験豊富な方はご存知かと思いますが、ゴミ(スケール等)は皆さんが思っている以上に発生しやすいものです。
ですので、「ストレーナがあるから大丈夫」と安易に考えてはいけません。
また、一度装置に不具合が出ると、その原因がゴミであるという結論に至るまでに相当な時間を要します(種類にもよりますが、他の装置の不具合の原因を探るのは、流量計の不具合原因を探るよりもはるかに困難なことです)。
ここで、アナログ流量計を使用していれば、「ゴミ詰まり」という形で、すぐに不具合原因が分かります。
つまり、不具合原因が明確なため、すぐに対策を取ることができます。
語弊があるかも知れませんが、私の中でアナログの流量計は、「配管設計のための聴診器」だと思っています。
アナログの流量計を用いることで、「指示がおかしい」という形で、すぐに配管施工上の不具合を指摘してくれるからです。
これは本来の流量計の使い方ではありません(メーカーさんすみません。。。)が、皆さんの日ごろの業務において少しでもお役に立てたら幸いです。